【本質】FXも不動産投資も”価格・時期”が命。では違いは何?

【本質】FXも不動産投資も”価格・時期”が命。では違いは何?

現役で不動産業に携わるオッサンが「不動産投資」を語るシリーズ!も今回で4回目を迎えました。前回の最後は少しばかり衝撃的でしたね。「優良物件など存在しない」とね、そう言い切ったのですから実は私も、ちょっと言い過ぎだったかなと反省しております。

とはいえです。「これは良い物件ですぞ」と業者に勧められて買った賃貸物件が、次々と市場に埋もれていく様を見続けてきた者としては、どうしてもやはり「優良物件など存在しない」と断言したくなるんですよね。

☆その物件が優良なのは買ったその日まで

それではその理由をご説明致しましょう。一般に優良とされる物件とはどんなものなのか。日当たりが良く駅から近く、それでいて価格が他の物件に比べてお買い得である。と、そんな形容がなされる物件でしょうか。

条件が整っていて他の物件に比べて安ければ、確かに購入時にはお買い得でしょうね。ところが、その物件が「価格的優位性」を持っているのは、購入する前まででしかありません。優良であるのは購入したその時点だけで、一旦購入してしまえば、それらの優位性は全て終了してしまうのです。

つまり、購入時の「売買相場」では好物件だったといえるだけで、購入した後に放り出されることになる「賃貸市場」においては、何らの優位性も持っていないということになるのです。

不動産の価格と時期

その物件を貴方が購入した価格より安く、同程度以上の物件を手にした人は山ほどいます。少し時代を遡れば不動産が安い時期はいくらでもありますし、相続贈与タダで貰った人も多数存在します。

貰ったということは0円ですよね。そうなんです。買った時点での売買相場でのその物件ンの購入価格は優良でも、過去に遡れは、または遡らずとも同程度の物件を安く、もしくはタダで手に入れている人は腐るほどいるのです。ですから賃貸市場に放り込まれた瞬間に、貴方の買ったその「優良とされる物件」は、そこいらにいくらでもある普通の物件でしかなくなってしまうのです。

不動産のクラス

同程度の物件でさえそうなのですから、更に上のクラスの物件と競わなくてはならないと考えたらどうですか。「不動産のクラス」という分類が分かりにくいかもしれないので説明しますと、ワンルームと2LDKといったように、主に居住者となる対象のお客様が違う物件のことをいいます。単身者ならワンルームや1LDK、ファミリー層なら3~4LDKと、物件のクラスが違えば居住者の層が変わる、といった分類ですね。


(具体例)

それでは、貴方が買った500万円のワンルーム・マンション物件A、同じ賃貸市場に出ていた2DKのマンション物件Bとして考えてみましょう。

物件Aは駅から徒歩10分で北向き、20㎡でバスとトイレが一緒のスペースに設置された物件でした。対して物件Bは購入時期が違ったこともあり400万円で購入。30㎡の2DKで、バス・トイレが別部屋となっている上、駅からは歩いて5分。しかも、物件Aに比べ2駅も都心により近いという、本来なら物件Bは、物件A とは比較対象とならない条件、つまりは「クラスが上」の物件でした。

ところが、貴方が物件Aに設定した賃料5万円に対し、何と、本来なら上のクラスに存在するはずの物件Bも、貴方のマンションと同じ5万円に賃料に下げてきたのです。

クラスが違うのに同じ賃料。これでは勝負になりませんね。もちろん、広さや立地は入居者の事情によって対象が変わりますから一概には言えませんが、賃料が同じであれば少しでも条件の良い物件を求めるのは顧客の常と言えます。

また、条件のいい物件Bがそんなに賃料を下げるワケはないじゃないか。と思われるかもしれませんが、賃貸運用は入居者がいてナンボの世界、空室期間こそ最大の敵なのです。入らないとなると賃料を下げるのは当たり前。であれば、購入価格の安い物件Bは「利回りに余裕」がありますから、入所者が決まらないとなれば賃料を下げるのも至極当然であると言えるのです。

「遊ばしておくよりマシでしょ」と賃貸専門の業者や賃貸管理業者はよく言いますが、つまりはそういうことなんですね。このようにして貴方の買った物件Aは、違う時期に貴方より遥かに好条件で購入されたクラスの上の物件とも、賃貸市場では競っていかなければなりません。

購入時にその時点での「売買市場」でどれだけ好条件であったとしても、一旦賃貸市場に放り込まれてしまえば、購入時の優位性など途端に消え去ってしまうのが現実なのです。購入価格がいくらお買い得でも、賃貸市場においては「優良物件とはなり得ない」つまり、優良物件など始めから存在しない、ということなのです。

☆営業トークに嘘はない。だけど・・・

”「30㎡の1LDK、販売価格は1,000万円。月額で8万円の賃料が見込めます。月額8万円ですから1年で96万円、年利で9.6%の利回りになりますね。いやいや素晴らしい、銀行金利よりずっと有利ですし、良い事尽くめですね。これは優良物件ですよ、是非とも購入されて、長期的な運用をお奨めします」”

よく聞きますし広告でも見ますよね、こういったセールストーク。

もちろん嘘は言っておりません。ですが、だからといって騙されてはいけません。その物件が優良であるのは、先程申したように同程度の金額で同時期に購入された他の物件に対してだけでしかありません。賃貸市場においては何も意味を持たない「優良具合」でしたね。賃貸市場においてのライバルは、貴方と同時期に、同程度の物件を同じような価格で購入された物件やオーナーだけではありませんでしたからね。

売買市場と賃貸市場は、同じ市場ではないのです!

貴方がいくらでその物件を購入したかなど、賃貸市場では全く関係ありません。賃貸市場の現実は、広さや利便性といった諸条件が同等の賃料の物件に比べていかに勝るか、つまりは同条件の物件の中で、いかに賃料的な優位性をお客様に提示できるか、という一点に尽きるのです。

ですので賃貸物件を購入して運用するとなったら、まずは賃料相場をよく分析し、検討する物件が賃貸的な条件面で優位性を保てるか、その上で相場賃料に見合った価格(利回り)で購入できるかをよく調べる必要があります・・・

というのが一般的な対応策ですね。

セミナーに参加する際の注意点

一般的といってもよくあるセミナーなどでは語られませんよ。ここまで説明したならそのセミナーはかなり良心的です。きちんと購入時点での価格に賃貸市場との関連性がないことを提示しているのですから、売りつけるだけの業者さんたちとは雲泥の差があると言えるでしょう。

ですけどね、それでもリスクは残っているんですよね。いくら賃料相場をよく分析した上でそれに見合った利回りの物件を購入したとしても、その後の対応を間違えば意味がありません。

そのあたりはいずれのお話しということで、今回はここまでとさせていただきます。



ちひろ
不動産業に携わりながらKeikana LineにてFX取引も行っています。
ブログにはFXの日々の観測、不動産記事やエッセイ等も掲載中
ブログ:ストップ!!ちひろちゃん・FXは損切が全てです!
商号 株式会社ゴゴジャン
金融商品取引業の登録番号 関東財務局長(金商)第1960号
加入協会 一般社団法人 日本投資顧問業協会
商号 株式会社ゴゴジャン
金融商品取引業の登録番号
関東財務局長(金商)第1960号
加入協会 一般社団法人
日本投資顧問業協会
金融庁日本投資顧問業協会証券・金融商品あっせん相談センター証券取引等監視委員会

Copyright © 2024 GogoJungle Inc. All Rights Reserved.