曖昧にしたくないシステムトレードの止め方「BandCross3 EURUSD」



今、多くの利用者が気にしていることのひとつに「BandCross3 EURUSD」の調子がとても悪いというのがあると思います。 ここでは「BandCross3 EURUSD」の運用は止めるべきなのか、そして、「BandCross3 EURUSD」だけではなく、システムトレードの運用について見ていきます。 正当性のためにあらかじめ書いておきますが、「BandCross3 EURUSD」の宣伝をするつもりはなく、もちろん貶めるつもりもありません。 私は「BandCross3 EURUSD」の信者でもなければ、悪意を持っているわけでもなく、そもそも「BandCross3 EURUSD」を使っているわけではないので(これに限らず人様のEAを使う習慣がないのです)、利益に浮かれることも、損失に嘆くことも、まして蜜の味とも思わず、細かいロジック等も分かりません。 ただ、現状を数字で把握しているというのが正直なところです。 「なんだよ」、と思われてしまうかもしれませんが、FXの結果は数字で判断するしかないというのもまた事実(数字をいじっても結果が出るわけではないのは皮肉だと思います)。

「BandCross3 EURUSD」のコミュニティ



「BandCross3 EURUSD」のおさらいをすると、販売開始されたのは2013年の10月。2015年4月11日現在678名が利用する超人気EAのひとつです。 fx-onの販売本数や他のバージョンも含め、一般的に生活に不自由することなくそれなりに多少の贅沢もできるだけの収入がFXである人(ぼやかし)、それ以上の金額を回収する(それだけの人に支持される)というのは、商材販売として非常に優れていると言えます。 そんな「BandCross3 EURUSD」がここ最近、調子を崩してきているという雰囲気が出てきました。 コミュニティの直近の書き込みではその様子が伝わってきます。 史上最大DDになってしまいました。殆どBUYで負けました。こんな日足で下落の相場の中、下落相場に沿ったSELLで確率的に勝ちやすいのに、なぜSELLオーダーはしないのでしょうか。(泥太郎さん) 今回もまた大幅なDDになってしまいましたね。以前にも同じような意見が出てたかと思いますが、利益に対してストップロス時の損失が大きすぎると思います。ここ数回のストップロスで数ヶ月分の利益が飛んでいます。(koumaさん) 最近は無謀な悪粘り+大損失という繰り返しであり、エントリーのタイミング、ナンピンの判定とも、まるで損失を求めて動作しているようでいたたまれません。総合的に見て、このEAはエッジを失ってしまったのではないでしょうか。(ペケペケさん)

「BandCross3 EURUSD」の成績



「BandCross3 EURUSD」の成績です(2015年4月11日現在)。 これまでに37.2%の収益があり、勝率も81.82%、ドローダウンも22.12%と数字では決して悪くはありません。 ただ、積み重ねてきた利益を吐き出してしまっていることに、多くの利用者が心配しているのだと思います。 単純に固定枚数で裁量を加えずに(無闇に停止させるなどしないで)稼働させた場合、2014年8月中旬以降に運用した人は損失を出している計算になります。 言い方を変えると、2014年8月中旬以降に得た利益を、2015年2月下旬から現在までにすべて吐き出していることになります。 もちろん、利益が出た分をそのまま複利として枚数を上げていれば、そのまま損失額は増しますし、反対に損失を出したあとに枚数を下げて、あとの利益を十分に得られなかったという場合もあると思います。

「BandCross3 EURUSD」のバックテストを見る



続いて、「BandCross3 EURUSD」のバックテストを見てみます。 バックテスト期間は2010年8月〜2014年2月。3年6ヶ月のバックテストの期間での最大ドローダウンは3.93%です。 そして、フォワードテストでの最大ドローダウンが22.12%と更新しています。 一般的にEAを含めたシステムトレードの運用を止める時期のひとつとして「最大ドローダウンの更新」があげられます。 もし、「BandCross3 EURUSD」を止める時期として最大ドローダウンの更新を適用するなら、3月中旬のドローダウンの時点で運用を止めるべきです。 そして、仮想トレードを続け、最大ドローダウンが回復し、2月下旬の最高値を更新したら再運用を開始するというのが基本の形になります。 運用を停止してから回復するまでの利益(谷から山までの期間の利益)を得られませんが、いつまで続くか分からない損失を抱えるリスクは防がなければなりません。 システムトレードでは取れるリスクを決めて「絶対に相場から退場しない」というのが、もっとも大切なルールのひとつになります。

システムの運用を停止するルール



システムトレードをしていて運用を停止するルールは人それぞれあると思います。 基本は前述の「最大ドローダウンの更新」です。ほかによく見かけるものに「なんとなく調子が悪い」「今の相場に合わなくなった」というのがあります。 これらの理由を使っても問題はありません。 しかし、大切なのは「なんとなく調子が悪い」の「調子」と「今の相場」をきちんと定義する必要があるということです。 淡々と続けることではじめて優位性を得られるシステムトレードにおいて、おままごとのような肌感覚は通用しません。 人が「なんとなく調子が悪い」と思うのはおそらく連敗が連続した頃だと思います。最初の連敗では、「こんなこともあるか」程度に楽観視し、再び訪れる連敗で違和感を覚えるのではないでしょうか。 そして、「コレ使えない」と判断するのは、それまでに得た利益をすべて吐き出してから。残ったのは損失とEA購入費用(利益を得られるのはASPと販売者だけ)という苦い思い出を持つ人も多いと思います。 また、「今の相場」もとても多く聞かれる言葉ですが、「今の相場」が何を指すのかはきちんと定義しておく必要があります。 上昇相場なら「上昇相場」、一定の値動きの幅(ボラティリティ)なら「値動きの幅」。「今の相場」という曖昧な言葉に包んでいては対応もできなくなってしまいます。 「上昇相場」なら何をもって「上昇相場」と判断するか、「値動きの幅」ならどれだけの「値動きの幅」とするか、FXは数字を扱う以上、MQLではありませんがきちんと定義することは大切です。 ちなみに私は、ここ数年ユーロドル相場が変わったと思ったことはありません(鈍感という可能性もあります)。 数年前のドル円相場が一日あたり数pipsしか動かなかったときと比べると、今は値動きの幅が上がったとは思いますが、それで手法が変わった(使えなくなった)ということもありません。 ユーロスイス相場が1.20を撤廃したことによってドルスイスなどスイスフラン絡みの通貨ペアのスプレッドが拡大し、デイトレードが難しくなったとは思いますが。 一定期間のボラティリティを意識すれば、徐々に変動する相場の値幅にも十分対応できるようになります。 具体的には、期間の平均は変化するため柔軟に対応できますが、固定パラメータは平均値幅が変わればまったく役に立たなくなります。 どのシステム(EA)についても言えることですが、短期間の相場に最適化されたものが多少の相場のブレ(「今の相場に合わない」と呼ばれる現象)で使えなくなるなら、この先も絶対に起きるだろうほんの少しのブレでも使えなくなることは必至です。

まとめ

「BandCross3 EURUSD」を通して、システムトレードの運用について見てきました。 どんなに優れた手法でもドローダウン期は必ず訪れます。そのときにテキトーにするのではなく、正しい選択、一貫した選択をとることで、相場から退場することなく再び臨んでいけるのだと思います。


written by すべてがFXになる  
商号 株式会社ゴゴジャン
金融商品取引業の登録番号 関東財務局長(金商)第1960号
加入協会 一般社団法人 日本投資顧問業協会
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