新年度の仮想通貨市場は静かな船出となりました。今年は足腰を鍛える一年になりそうです。


■テクニカル密集から膠着状態




現在のプレーヤーの多くは、短期目線でのレンジを約700,000円-800,000円で見ています。


これは昨年700,000円を超えた付近から相場の過熱が止まらなくなった事を多くのプレーヤーが覚えていることや、実際700,000円より下の水準感ではヒゲを何度かつけていて、押し目買いが強いことが根拠です。


テクニカル的に重要な項目として何度か挙げている、トレンドラインの上限、ボリンジャーバンドの中心線、200日移動平均線もこのエリアに密集しており、今は積極的な売買がしづらい事がよく分かります。


また昨年と比べると短期売買のプレーヤーは激減しているため、相場が動意づくにはしばらく時間がかかるかもしれません。上下に動意づく条件は「チャネル上限を超える(上昇)」「70万円を2日連続で割って下の水準を模索する(下落)」の2パターンで分かりやすそうですが、これが確定した後も足が早まるまで時間がありそうなので今は静観スタンスで良いでしょう(だからこそ、エントリーするプレーヤーが少なく相場が全く動かないのでしょうが)。


とはいえ昨年4月の水準が120,000円ですから、この水準でも十分成長したと言えます。



■なぜマネックスとコインチェックは結婚に踏み切ったのか


今週の重要トピックとしてマネックスがハッキング事件に見舞われたコインチェックの買収を発表しました。


買収金額等の詳細は割愛しますが、マネックスが買収をすることで次のようなメリットが考えられます。

①スピード感が求められる仮想通貨事業で、独自の仮想通貨取引所開所では金融庁への許諾に時間がかかりすぎてしまう所を一気にキャッチアップできる

②ブロックチェーンに精通した人材を獲得できる

③収益に爆発力あるサービスを揃えられる

④ネット証券のターゲットである若年層の顧客が獲得できる


またコインチェックがマネックス傘下に入れば、コンプライアンスやガバナンス面で金融の実績・知見を有している人材を一気に補強でき、

⑥今後IPO・買収という選択肢を考えた時に、それなりに買収実績があり、かつ銀行などよりは組織の敏捷性が高い(高そうな)マネックスがかなり強力な後ろ盾になる

ということも考えられそうです。


これだけ見れば、両者とも補強ポイントが上手く一致した様に思えます。


現在フィンテック系企業では、IT系人材の方が金融系人材より多く、開発のスピードが速い分、金融機関で規制当局とのコミュニケーションやルール作りが緊急課題になっています。既存の金融会社と仮想通貨取引所が手を組み、金融人材・ノウハウを速やかに取り入れる、というのはこれから仮想通貨事業者が成長していくための大きなハードルです。


マネックス松本社長が「M&Aは結婚の様なもの」と記者会見で強調したのも、こういう背景があるのではないかと筆者は考えています。


とはいえ、マネックスが提示した買収金額がコインチェックの売上高と比較すると低く、自社よりも売上高が高い企業に支払う金額としてはかなり違和感があるかもしれません。内情を知る両者の背景にどのような交渉があったのかは想像の域を出ませんが、これからまた仮想通貨は新たなフェーズに入っていきそうです。



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【執筆者】

河田 西欧(カワダ サイオウ)

トレイダーズ証券市場部ディーリング課

スイス・ジュネーブ生まれ。慶應義塾大学卒。

世界各国を旅した経験から実体験に根ざしたファンメンタルズ分析は説得力がある。

学生時に学んだ行動経済学を活かし、市場参加者の心理的バイアスを理論的に分析しトレードに活かす。

趣味は将棋でアマ高段者の腕前。中盤の駆け引きは相場の次の一手を読む時にも活かしている。

「大衆は常に間違っている」が信条。


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