膠着感が強まる~EMORI NEWS~




膠着感が強まる

〔Equity Market〕 株式



米国株は小幅安。引き続き、米利上げ観測が重石になっているようである。08年の金融危機以降の歴史的な低金利政策が転換しようとしており、これが投資家心理を冷やしている。この日はサンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁とセントルイス地区連銀のブラード総裁が講演で、いずれもタカ派的な見解を示している。これまでのFRB高官の早期利上げの可能性を示唆する発言を踏襲した格好である。そのため、27日に予定されているイエレンFRB議長が利上げに関してどのような発言を行うかに注目が集まろう。FRBが利上げをしたい理由は、インフレでも雇用でもなく、商業用不動産ローンの拡大抑制にあると考えられる。バブル崩壊を防ぐためにも、早めに市場を冷やしておきたいというのが本音であろう。金利の正常化により、行き過ぎを防ぐことで、利下げ余地も生まれる。6月利上げの可能性は低くないだろう。また6月23日の英国のEU離脱に関する国民投票の結果を気にするのであれば、7月に利上げはずれ込むかもしれない。しかし、この機会を逃すと12月まで利上げはできないだろう。そう考えると、7月までに利上げがかなり高い確度で実施されるものと考えている。 日本株は引き続き動きづらい展開にある。サミットまでは方向性は出ない可能性が高い。16500円は堅いものの、16800円は重い。さらに海外市場で円高気味になっており、今日は上値の重い展開になるだろう。日経平均採用銘柄の一株当たり利益(EPS)は1194円、株価収益率(PER)は14倍割れと、依然として低水準である。このEPSの信憑性を疑う投資家はいまだに多い。と同時に、この数値が正しいのか、その中身はどうなのか、という声が市場で非常に多く聞かれる。この数値を受けて、一部大手証券会社は再び強気になり始めている。年末の日経平均株価予想が19000円などという数値も飛び出している。いずれにしても、この数値は今後数か月変わらない。そう考えると、当面はテクニカル分析と為替動向、さらに外部環境を考慮して判断するしかない。消費増税先送りと衆参ダブル選挙の動きにも注意が必要であろう。ただし、聞くところでは、これらはほぼ実施される見通しである。


〔Currency Market〕 為替



ドル円は下落した。4月の日本の貿易収支が3カ月連続で黒字となったことが材料視されたとの声が多い。またG7財務相・中央銀行総裁会議で米国が日本の為替介入をけん制したことも上値を抑えたようだ。ルー米財務長官が為替について、これまでのスタンスを維持したことで、日本の円売り介入余地がないことが明確になった。今後、円高になっても、日本政府は介入ができないことを考慮すれば、戻り売りに安心感がある。一方、ユーロドルは一時1.1187ドルまで下落する場面もあったが、その後は1.12ドル台を回復している。この日は米サンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁やセントルイス地区連銀のブラード総裁がタカ派な発言を行っており、6月または7月の米利上げ観測が再び強まる可能性がある。市場参加者も、利上げについては疑心暗鬼になっているようだ。利上げせざるを得なくなるような材料が今後出てくるかは不透明だが、一方で商業用不動産ローンが拡大し、価格も上昇していることから、FRBの利上げの真の目的はここにあるのではないかと考えられる。そう考えると、早めに利上げを行い、不動産バブルの崩壊を防ぐ必要がある。そのような発言が、今後のイエレンFRB議長から聞かれるかに注目しておきたい。今週は4月の新築住宅販売(24日)、4月の耐久財受注(26日)、5月のミシガン大消費者指数確報値、第1四半期GDP改定値(27日)が発表される。またFRB高官の講演なども多い。日本でもサミットが開催されており、材料は多い。週末にかけて為替相場のボラティリティが上昇する可能性は非常に高いだろう。


〔Commodity Market〕 商品



金は4日続落した。材料不足の中、引き続き米国の早期利上げ観測が重石になっており、1250ドルの節目を割り込んだ。米サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁が、6月か7月の利上げの可能性に言及したことや、セントルイス連銀のブラート総裁が「米国の金利があまりに長期にわたって低水準で推移すれば、金融不安定を招きかねない」と発言し、さらに「市場の利上げ観測が高まっていることはおそらくは良いことだ」としたことも圧迫材料となっている。しかし、ユーロの下落が止まったことで下げ幅は縮小した。4月のFOMC議事要旨の公表以降、金相場は圧迫されている。市場の予想外にFRBが利上げに傾いていたことが浮き彫りになり、金市場のセンチメントは悪化している。6月利上げの可能性は高いとみているが、その間にドルが上昇してしまえば、そこが金相場の底値になろう。その後の利上げは早くて12月になることを考慮すれば、ドルの上値は必然的に重くなり、金相場を押し上げるだろう。一方、世界最大の金ETFであるSPDRゴールドトラストの金保有高は20日時点で869.26トンと、13年11月以来の高水準となっている。投資家の金回帰トレンドは明確である。ジョージ・ソロス氏が、このSPDRゴールドトラストのコールオプションを購入したとの報道も、最近の金ETFへの資金流入を後押ししている可能性があるだろう。

情報提供元:江守哲のリアルトレーディング・ストラテジー

商号 株式会社ゴゴジャン
金融商品取引業の登録番号 関東財務局長(金商)第1960号
加入協会 一般社団法人 日本投資顧問業協会
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