【書評】V字回復を実現するハゲタカファンドの事業再生(安東 泰志 著)(★4)

【書評】V字回復を実現するハゲタカファンドの事業再生(安東 泰志 著)(★4)

V字回復を実現するハゲタカファンドの事業再生
著者:安東 泰志
価格:¥799
評価:★★★★
企業、年金基金は、ハゲタカファンドをもっと活用せよ

「ハゲタカファンド」
この言葉を聞いて、株式を買い占めるなど、自分たちの儲けのために企業を利用し、その財産を根こそぎ奪い去っていく集団というイメージを持つ人は多いでしょう。
しかし、そうとは言い切れません。

ハゲタカファンドを別の名前で呼べば、「プライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)」。
経営の立て直しをサポートしてくれるファンド。特に欧米ではPEファンドは苦境に陥ったと企業を救済してくれる頼りになる助っ人です。
PEファンドの中にもいろいろあり、以下のように分類できます。
 ベンチャーキャピタル :創業期の企業を支援
 バイアウトファンド :成熟期の企業を支援し、企業の価値向上を目指す
 再生ファンド :経営不振企業の支援
彼らは、単なる「株主価値(株主だけの利益)」だけでなく「企業価値(従業員・債権者・取引先・地域社会などの利益)」の向上を目指します。

本書の著者は、PEファンドの代表として、数多くの企業再建に携わってきた人物。
銀行を頼り融資を断られ破綻してしまう企業をみると、PEファンドを知っていれば、生き残ることができた企業もあるかもしれないと人頃から思っていると言います。故、「PEファンドの存在を広く知ってもらいたい、PEファンドがどんおようなことをしているか正しく伝えたい」という思いから、本書が描かれています。

◆ハゲタカの狙いは暴利をむさぼることではない。自らリスクを取る
・リスクマネーを供給し成長を支援
・ファンドがジリ貧企業の資金調達を支援
・経営にも深く関与。経営者と同じ目線で会社を育む。
・起業のしがらみを排除し成長への方向転換を果たす
・スキーム作りを行う。銀行理論を知り尽くした債権処理で再生を有利に進める
・ファンドに再生を依頼することで風評被害を防げる
・足りない能力は一流のブレーンから借りてこられる。人材も供給する。

◆欧米におけるPEファンドの出資者
欧米におけるPEファンドの一般的な出資源の多くは年金か大学の基金。米国では企業年金の運用資産の7%程度がPEファンドに投資され、公的年金は一般的にもっと高い比率をPEファンドに出資している。

米国を代表する公的年金カルパースは、PEファンド、ベンチャーキャピタルへの資産分配目標値を14%と決めている。カルパースがPEファンド、ベンチャーキャピタルへの投資を積極的に行う理由として、
1.市場連動型金融商品との低い相関性
2.過去長期にわたるリターンの安定性
3.自国・自州経済の経済産業育成
がある。インテル、アップル、グーグルなどが、カルパースの年金受給者の超長期的な意味での利益になったことは言うまでもない。

◆日本のPEファンドの有効活用は遅れたまま
日本の公的年金の運用改革は遅れたまま。年金資金をPEファンドに入れることには反対意見が多い。しかし、実際は国債100%の運用よりも、PEファンドを加えた方が、リスクは低く、リターンもずっと高くなる。年金資金をPEファンド、ベンチャーキャピタルなどの代替資産への分配が望まれる。
written by postin
商号 株式会社ゴゴジャン
金融商品取引業の登録番号 関東財務局長(金商)第1960号
加入協会 一般社団法人 日本投資顧問業協会
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金融庁日本投資顧問業協会証券・金融商品あっせん相談センター証券取引等監視委員会

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