仮想通貨元年
10日にCBOE、18日にCMEで続々とBTC先物が上場されましたが、地合いに大きな変化は見られずBTCは材料消化感から200万円で値を固める展開でした。
■10万円が200万円に
現在BTC/JPYは200万円付近を推移しています。年初対比ではなんと20倍(!)の成長となりました。
年内の材料は一通り消化したと見ています。金融業界も総じてお休みムードですので、しばらくは落ち着くのではないでしょうか。
なお今後期待されるニュースとしては、先物に続きビットコインETFの上場期待などがあります。
■今年一年を振り返る
2017年は仮想通貨元年の呼び声高く、堂々たる値動きを記録した一年となりました。
今相場に参加されている多くの方は、本年度に仮想通貨投資を始められたのではないでしょうか。
復習もかねて、2017年のBTCを総括しましょう。
年初、BTCは中国での取引規制強化の動きから暴落し、80,000円台まで下落しました。
この頃から2016年までのBTC相場を支えた中国の投資家が姿を消し、米国勢、韓国勢、日本勢が代わりに市場に参加するようになりました。
4月に入ると改正資金決済法の施行により仮想通貨が投資家保護の対象になり、日本が先行して投資環境の整備を行ったことで新たに資金が流入。これがマーケットで好感されました。BTCは上昇軌道に乗り、レバレッジ取引も増えたことから値動きは加速しました。
7月は取引量が急増した事から取引の承認スピードが追いつかずシステムの脆弱さが市場で懸念されました。これを受けBTCの仕様変更を巡って技術者、取引所、マイナー等が対立しBTCが2つに分裂する事態に。不安のピークだった7月中旬にはBTCは200,000円まで大幅下落。
しかし8月からはICO(仮想通貨を用いた資金調達)ブームが市場のテーマとなり、BTCはラリーに突入。この頃からメディア等の注目度が上がり、上昇ペースが加速しました。
9月に入ると中国が突然ICOを全面禁止した事を皮切りにBTCは下落。また米大手銀行JPモルガンのダイモンCEOがBTCは詐欺であると警告した事により市場は大混乱。再び300,000円まで下落。
しかしながらJPモルガンとは対照的に米大手証券ゴールドマンサックスが仮想通貨ビジネスに乗り込む事を検討した事が伝わるなどして、市場は冷静さを取り戻し大反発。また、この時期からBTCは様々な仮想通貨と分岐・分裂し続けるようになりましたが、これも一種のブームとして好感されるようになり、上昇に歯止めがかからなくなりました。絶賛の買い場となったこの頃から日本の個人投資家による取引量が世界一になり、レバレッジ取引のスキームを活かしたビットコインFXという商品が爆発的なヒットを記録しました。
そして11月、BTCは大台となる100万円と10,000ドルをほぼ同時期に達成し、一気に200万円台へ。機関投資家の資金の呼び水となる先物の上場が12月に行われるとの発表から先高観がいっそう強くなり、売りたい投資家が相場から消えました。まさに相場の神髄である、モメンタムが現れた格好です。
そしてBTCはわずか一週間の間に100万円以上の上昇を記録し、クリスマス前である12/21現在、少し調整を挟んで2,000,000円を推移しています。
■次回はお正月
大きな1年となりましたが、刺激から遠ざかりお正月はゆっくりされたい方も多いのではないでしょうか。
しかしお正月もポジション管理には注意してください。
海外ではお正月はありません。この時期に休んでいる日本の投資家を攻めるのはマーケットの世界では一種の定跡です。とはいえ現在相場を動かしているのはアジア勢という認識は世界中で一致しているため、唐突に下落が起こる可能性はそれほど高くないかもしれません。
ただ不測の事態にも対処できるように、完全オフで休むならポジションの一部を落としておきましょう。
最後に、筆者の今年度の活動を踏まえ、一つアドバイスを添えて本年を閉め括りたいと思います。
相場は生き物です。
長く付き合ってこそお互いを理解しあえるものだと日々感じています。
いかなる相場でも、勝つ事ではなく、負けない投資を心がけるようにしてください。
負けなければ、必ず勝ちます。
負けず嫌いになりましょう。
何かあった際には、落ち着いてこの言葉を思い出して頂ければ幸いです。
それでは、よいお年を~。
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【執筆者】
河田 西欧(カワダ サイオウ)
トレイダーズ証券市場部ディーリング課
スイス・ジュネーブ生まれ。慶應義塾大学卒。
世界各国を旅した経験から実体験に根ざしたファンメンタルズ分析は説得力がある。
学生時に学んだ行動経済学を活かし、市場参加者の心理的バイアスを理論的に分析しトレードに活かす。
趣味は将棋でアマ高段者の腕前。中盤の駆け引きは相場の次の一手を読む時にも活かしている。
「大衆は常に間違っている」が信条。
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