10日はCBOE先物上場
10日に米取引所のCBOEでBTC先物が上場される予定を控え、市場はお祭りムード。11/29に一度仕掛け的な売りが見られましたが、100万円を少し割った程度のラインで防ぐと、そこからは一方的に上昇する展開。
その後もチャート上意識されるポイントでは瞬間的に売りが強まることもありましたが、これらは全て不発に終わり、売りたい参加者がいない相場になってしまいました。
■材料はほぼ無視される
現在BTC/JPYは160万円台を推移しています。半月で約2倍の上昇です。
テクニカルもファンダメンタルズも意に介さない相場のため、テクニカル指標を載せるのを辞めました。
12/6には1日あたりで23万円の上昇となり、一日あたりでは最高の上昇幅になりました。
国内取引所が価格を牽引しているとの観測から、この買いの主体はレバレッジ取引を駆使した個人投資家だと考えています。
大手取引所での先物取引価格と現物取引価格の乖離差は約10万円となっており、割高であったとしてもレバレッジをかけて買いたい、という投資家の焦りがここから見えてきます。
■市場心理は超過熱状態
11/29の深夜に大幅な下落を経験したことから、買い持ちだった多くの投資家が損失を抱えたと推察されます。しかしそれから一週間も経たないタイミングで再び最高値を更新した事から、ここぞとばかりに損失を取り返すべく多くの投資家が焦って買いを入れているような状態です。こういう相場では、割安感・割高感抜きに買いが入ります。するとポジションが買いに傾きやすく、売りの仕掛けも失敗しがちになります。このため、ほとんどのプレーヤーが売りに自信を持てずさらに買いに傾いてしまう、という焦りの心理から来る超過熱状態になります。
こうすると、以前にも増して一人あたりのレバレッジ比率が高まり、言い換えれば少しの下落幅でもストップロスが入るような状態になります。それが連鎖的に他の投資家のストップロスを呼ぶようになるため、上昇はしているものの、トレンドの転換に対しては極めて神経質な相場であると言えるでしょう。
■年内200万円か、それとも暴落か
暴落の引き金になるものとそのタイミングとして、
①
来週、上場されるBTC先物から材料の消化気味のセルザファクト的な売りが起きる(確度:低)
②
年内に先物取引を用いて機関投資家が大きく売る(確度:中)
③
現相場を牽引している日本の個人投資家を意識して、気が抜けた頃に下値攻めをする(確度:中)
の3つのシナリオを想定しています。
特に③ついては、マーケットの季節性を用いた定番取引としてはあまりにも有名なのですが、日本の投資家がお正月に実家に返り相場から離れるタイミングを見計らって、わざと下値攻めをするというものになります。
そんなことわざわざするの?と疑問に持たれる方も多いかもしれませんが、基本的に熟練したプロは非情でその瞬間に最も弱いプレーヤー(かつポジションが多い)を狙うものなので、BTC取引に関しても、証拠金を用いてレバレッジを高めている日本の個人投資家が真っ先にターゲットに挙げられてもおかしくありません。
逆に①と②が不発に終わり、年内を上昇トレンドで終了すれば、200万円、場合によってはそれ以上が見えてくる気がします。
■機関投資家は買いか、売りか
また機関投資家が先物買いから可能性は薄いのではないかと筆者は考えています。
仮想通貨はまだまだ将来性のある技術です。
機関投資家も中長期的には買いスタンスでしょう。しかしながら、買いスタンスであるほど、安く買いたいわけなので、現状旨味を味わっている楽観ムードの投資家を脅かす必要があるわけです。したがって、できる限り価格を売り叩いてから買いなおす、というのが短期的なスタンスだと読む事ができます。
正直この相場ではいつ下落が始まるか分かりません。しかし値動きが速くなった時はストップロスが発注されている一つの目安となります。下落が始まった際は、下落が始まる前の高値から安値までの50%ラインを意識しつつ、しっかり売りについていくようにしたいです。
基本的には上昇トレンドに追随する形で取引を行いたいですが、反転したタイミングでは、他人より早くストップロスし反転させるなど、決断は大胆に、判断は冷静に取引しましょう。取り返そうと思ってはいけません。
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【執筆者】
河田 西欧(カワダ サイオウ)
トレイダーズ証券市場部ディーリング課
スイス・ジュネーブ生まれ。慶應義塾大学卒。
世界各国を旅した経験から実体験に根ざしたファンメンタルズ分析は説得力がある。
学生時に学んだ行動経済学を活かし、市場参加者の心理的バイアスを理論的に分析しトレードに活かす。
趣味は将棋でアマ高段者の腕前。中盤の駆け引きは相場の次の一手を読む時にも活かしている。
「大衆は常に間違っている」が信条。
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