中国の取引停止から大幅な調整
今月のBTCは波乱に満ちた展開。
中国のICO規制、取引所停止、米銀行CEOの発言等からBTCは大幅下落し、一時300,000円付近まで調整しました。しかしながらこの水準では割安感が強く、冷静さを取り戻した後は440,000円台を推移しています。
■ICO規制から下落トレンドに
9月4日、中国人民銀行は「ICOとあらゆる関連資金活動は違法である」との見解を示しました。事実上のICO禁止令を受け、BTCは524,000円付近から450,000円程度まで調整しました。
このICOですが、9割が詐欺という見方もあり、仮想通貨を使った新たな資金調達手段の地道なルール作りの必要性が改めて確認されました。しかしながら、中国当局が指摘したICOの危険性はどちらかといえば建前で、本音は元安を招く資金流出回避のために仮想通貨を一時的に締め出すのが目的だったのではないかと見ています。
もちろんこれだけでは材料不足のためテクニカル的な調整にとどまると見ていましたが、この後12日にジェーミー・ダイモン氏(米銀行JPモルガンのCEO)が「ビットコインは詐欺である」との見解を示したことで、BTCはもう一段下げ400,000円をうかがう展開に。JPモルガンはブロックチェーンの技術開発なども行っていて実際にビットコインも保有していた事などから市場のショックは大きく、一時はパニック売りのような状態になりました。しかしながら400,000円台でサポートが見られた事から、これも一旦下落は収束したかのように思われました。
ところが14日、中国の大手取引所BTCCが取引を停止すると突然発表し、早朝から市場は大荒れ。7月からの上昇を半値戻す400,000円付近のラインをついに突破した事からかつてないほどの投げ売りが続き、一時BTCは300,000円台に到達しました。
■ネガティブなニュースも影響は一時的
この下落を受けバブルが崩壊したなどの見方もありましたが、中国一国での取引停止が世界的な仮想通貨暴落につながるとは考えにくく、もしそのようなシナリオが本当に実現するのであればBTCおよびブロックチェーンのシステムに決定的な欠陥が見つかったようなケースでしょう。今後も機関投資家などをはじめ新たなプレーヤーが相場に参加する公算が高く、300,000円台からの急反発時には早くもヘッジファンドなどの買いが観測されたとの報道もあります。
ICO規制の影響も限定的でしょう。ICOを用いた資金調達のスキームはまだ試験段階であり、期待感先行で価格が過熱・高騰していたにすぎません。中長期的に成功例が出ればそれをモデルケースにスキームが整備されるはずなので、早すぎる高騰は調整を挟みつつも中長期的な価格上昇要因である事には変わりありません。
■9月後半の展望
目新しい材料もない事から400,000-480,000円のレンジ相場を想定していますが、ニュースに素直に反応しやすい相場地合いのためサプライズには注意をしたいです。
なお、300,000円からの急騰で買いそびれた投資家が大勢いると思われるため、480,000円を超えれば買い直しから一気に上昇トレンドに突入する可能性も否定できません。しかしながら11月にはBTCが再分岐する可能性もあるため、こちらが次第にマーケットに織り込まれ、上がったところでは戻り売り圧力が発生し上値は重いと考えています。
BTCはリスクの高い投資対象です。投資の判断は自己責任で行いましょう。
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【執筆者】
河田 西欧(カワダ サイオウ)
トレイダーズ証券市場部ディーリング課
スイス・ジュネーブ生まれ。慶應義塾大学卒。
世界各国を旅した経験から実体験に根ざしたファンメンタルズ分析は説得力がある。
学生時に学んだ行動経済学を活かし、市場参加者の心理的バイアスを理論的に分析しトレードに活かす。
趣味は将棋でアマ高段者の腕前。中盤の駆け引きは相場の次の一手を読む時にも活かしている。
「大衆は常に間違っている」が信条。
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