「勝率が4%上昇」 有効性の高い売買ルールを修正する ー日本株システムトレード基礎講座⑤
「勝率が 4%上昇」有効性の高い売買ルールを修正する
証券アナリストで、システムトレードに関するセミナー講師を担当しています、フェアトレー
ド株式会社の西村剛(にしむらつよし)です。本講座では、ご覧頂いた皆さまが基礎から「シス
テムトレード」を理解できるように、やさしい言葉とやさしい表現で解説していきます。ぜひ、
最後までお付き合い頂ければと思います。
今回のテーマは「勝率が 4%上昇有効性の高い売買ル
ールを修正する」です。では、中身に入りましょう。
「勝率 37%でも儲かると言える理由」の講座では、チャネルブレイクアウト手法について、バックテストの結果を詳細に分析しました。結果は、一定の有効性は認められるものの、このまま
現実の売買で使用するには少々頼りないという結論でした。
そこで、今回はこのチャネルブレイクアウト手法の売買ルールを若干変更して、もう少し有効性の高いルールにしてみたいと思います。今回も「斉藤正章」氏に売買ルールを解説していただ
きます。
-------------
斉藤正章です。すでに,ご存知のとおり、チャネルブレイクアウト手法は「XX日の高値を更新
したら買い」というように、過去の高値が基準になっています。ということは、「XX日」の日数
が短いほど株価の小さな波(動き)をとらえることになるため、売買の頻度が多くなり、逆にこ
の日数が長いほど株価の大きな波しかとらえないため、売買の頻度は少なくなります。
ブレイクアウト系の手法は、一方的な上昇相場(買いの場合)にはめっぽう強い代わりに、下
落相場や行ったり来たりの保ちあい相場には弱いという特徴があります。つまり、どれだけ「ダマシ」を減らすかというのが重要になるのです。このことから、「XX日」の日数が短いほど頻繁
にダマシに会って損失を膨らませるということが想像できるのではないでしょうか。
論より証拠ということで、早速、これを踏まえた検証をしてみましょう。
「勝率 37%でも儲かると言える理由」の講座で検証した売買ルールは、以下の通りでした。
「過去 40 日間の高値を更新したら買い」
「過去 20 日間の安値を更新したら売り」
そこで、今回はブレイクアウトの日数を長くして以下の売買ルールで検証しました。
┌───────────────────────────────┐
[買いルール]
・過去 250 日間の高値(終値で一番高い価格)を更新
[売りルール]
・過去 125 日間の安値(終値で一番安い価格)を更新
※売買は翌日の寄付き(始値)で行う
└───────────────────────────────┘
そして、上記のルールでバックテストした検証結果は以下の通りです。
┌───────────────────────────────┐
[検証結果] (テスト期間:2000/1/1~2008/5/16)
勝率:41.3%
平均損益率:+11.43%
平均保有日数:326.19 日
└───────────────────────────────┘
いかがでしょうか?よりわかりやすくするために、前回の検証結果と比較してみましょう。
┌───────────────────────────────┐
[前回] → [今回]
勝率:37.1% → 41.3%
平均損益率:+0.89% → +11.43%
平均保有日数:49.94 日 → 326.19 日
└───────────────────────────────┘
前回 37%程度だった勝率は 41%に、また 1 回あたりの平均損益率はなんと+0.89%から+
11.43%へと 10 倍以上に大幅アップしました。平均損益率が+11.43%ということは、1 回あたり100 万円で売買した場合、毎回 11 万円以上 11 万円以上の利益が得られたということになるわけです。
その分、買ってから決済するまでの保有期間は長くなりますが、それを考慮しても有り余る改善が得られたといってもいいのではないでしょうか。
このように今回の検証結果を見る限り、ブレイクアウト系のトレード手法は短期的なトレンド
よりも、より大きなトレンドをとらえた売買のほうが向いているということが言えそうです。
斉藤正章
-------------
斉藤正章氏の、売買ルール修正の解説はいかがでしたでしょうか?これまで、実際の売買ルー
ルについてご説明してまいりましたが、現実のトレードにおいては「売買ルール」だけではなく、
きちんとした『リスク管理(≒資金管理)』が重要になってきます。
ぜひ、別の講座の「資金管理」
の重要性もご覧頂ければと思います。
よろしいですか?