レジェンドから学ぶプロの姿勢を垣間見る
TradeStationの販売を開始して2年目の冬、事前連絡もなく会社宛ではなく私の名前宛でアメリカから大きな筒と大きな箱が届きました。開けてみるとOMEA社からの荷物で、ポスターとリーガルパッドサイズの小冊子がたくさん入っていました。なんでも私が1996年の第4クォーターの世界販売コンテスト3位になったと書かれていました。こんなコンテストが在ったことも、こんなよくわからない景品が送られてくることも全く知らなかった事でした。
これで何をするのか、のほうが私の疑問でしたが、メールによる説明を読むと、小冊子はスタディグループの教材として利用できるもので、これを使ってユーザーのグループの勉強会を主催せよ、との意向だったみたいです。当時の会社はそう言った事にお金を使うことを私に禁じていましたので、TradeStationの購入をされた方々でお付き合いいただいている方々に声をかけて、会社を会場として勉強会を開いて四半期ごと程度に集まろうという事となりました。参加者は様々で、個人投資家の方から、投信会社の方まで、10人前後いらっしゃいました。当時金融業界では様々な勉強会が開催されていて、三水会(月の第3水曜日に集まっての勉強会)とか三金会とかがあり、海外レジェンドではないですが金融業界でもそれと知られた方を先生として迎えて勉強会を行っていて、私も何度か参加させてもらったりしました。そんな会にできればいいなと思っていましたが、いかんせん、自腹で参加者だけで動くものだったのでそれほど大きなものはできませんでしたが、それでも当時としては画期的だったのではないかと思っています。
この中で某都銀の資金為替部のお客様がいらっしゃいました。彼の私への最初の言葉は、海外のある外国為替のファンドを行っている著名日本人を紹介してほしいという事でした。幸い私はその方を存じ上げていました。遅延で放映されていたNHKの「おしん」を見て泣いていた優しいおじさんです。都銀の資金為替部ではこの接触から売買のタイミングやスキームを購入して、その指示を毎朝だして売買を行っていました。
「寄り付きから●●分経過して、●●~●●の価格帯であれば買って、××~××になったら売り、▽▽を下回ったら損切りを開始する」というようなものでした。つまりこの為替のファンドはシグナルとしてのエントリーレンジを毎日出して、プロフィットターゲットと損切のポイントを出していて、それをこちらの銀行では実施していたという事です。あの「紹介していただけませんか」が、ディーリングルームでこうなるのだ、という驚きはいまだに忘れません。ストラテジーは分析がどうの、ではなく、分析の結果を条件として、導き出した損得ターゲットに向かって売買を作成するということを学ばせてもらいました。プロがプロに依頼して、それに基づいて多くが売買するという事を見せてもらいました。
(次回、システムを悪用する人たち)
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